園芸カレッジに一から学ぶ

福井で就農 思い熱く

池端 希彩記者(仁愛大学 4年)

 新規就農者のための県の研修施設「ふくい園芸カレッジ」を取材した。農業を職業にするためには勉強が必要不可欠。園芸カレッジでは▽新規就農▽地産地消▽スマート園芸―の3コースがあり、福井で就農を目指す県内外の人らの指導やサポートを行っている。
 農業をやってみたいと思っても、知識や経験がないと不安なことも多い。また、実際に始めてみたら地域の人となじめないなどの問題もある。カレッジでは、農業人口を増やしたいという思いで、手厚い指導や市町などと一体となったサポートが充実している。それまでに農業と全く関わっていなくても、一から安心して思い切り農業と向き合える環境だと感じた。
 今回の取材では、今年5月から新規就農コースで勉強している阿閉(あとじ)誠さん(46)と田中茜さん(26)に話を聞いた。阿閉さんは富山出身で、農業経験は全くなく、入校前は京都でサラリーマンをしていたという。いずれ北陸に帰りたいという思いと、自分で事業をやりたいという夢があり、妻の出身地の福井での就農を希望したという。阿閉さんの話を聞いて、チャレンジ精神の大切さを感じた。
 田中さんは生まれも育ちも東京で、以前は飲食店などの接客業をしていた。父が親戚の水田を継ぐために福井県にきたことをきっかけに、4年前に移住した。いずれは水田も継ぐつもりだそうで、その決断力に圧倒された。
 カレッジでは、自分で圃場を管理して模擬経営に取り組んでおり、2人はすでにコマツナやホウレンソウ、メロン、ネギ、花などさまざまなものを作っていて驚いた。
 実際に2人のハウスに案内してもらった。阿閉さんのハウスでは、きれいにずらりと並んで咲くトルコギキョウに思わず感動した。田中さんが育てるトマトは、採ってそのまま食べられるくらいきれいで甘くておいしかった。
 今後の目標を聞くと、阿閉さんは花を中心に就農し、いずれは花を生かした新製品を作り「地元の特産になれば」と話してくれた。田中さんも「2歳の息子が大きくなるまでに福井の農業を盛り上げて、いずれは農業をしてほしい」と願う。農業で福井を盛り上げたいという2人の熱い思いに、福井県民の私も圧倒された。今後の2人の取り組みが楽しみだ。

※ 本記事は、令和元年11月14日付福井新聞に掲載されました。