ハウスで青ネギ水耕栽培

通年出荷し経営安定

矢野 友梨記者(仁愛大学 3年)

 取材に訪れた小浜市尾崎の農業法人「若狭こすもかんとりー」は、大型ハウスで青ネギを生産している。法人が土地を工面し、JA若狭がハウスを取得、若手農家にリースして栽培し、JAが選果・選別・販売を行う事業として、3年前から取り組んでいるという。JA若狭営農部販売専門部長の村田昌司さんに話を聞いた。
 ハウスは田んぼや住宅が点在する中に十数棟が並び、目立っていた。靴を履き替えて中へ入ると、広くて清潔感のあるハウスに立派な青ネギがずらりと植えられている光景に驚いた。この青ネギは幸福度ランキング1位に選ばれた福井県産ということから「若狭幸福(しあわせ)ネギ」とネーミングされ、年間を通して生産されている。関西を中心に卸売市場や百貨店に出荷されているという。
 ネギは水耕栽培されているが、菌が入り込むと全滅してしまう恐れがあることから、衛生面は特に気を付けているそうだ。ネギは地面から離れた高さに植えられており、収穫の際は土耕栽培のようにしゃがむ必要がない。「汚れずに作業できるし、若い人にも向いている」。そう説明してくれた村田さんの心には、これから若い就農者が増えてほしいという思いがあるのだと感じた。
 確かにネギの栽培というと、地面に植えられていて、作業の際はしゃがむ姿勢がきつかったり汚れてしまったりということをイメージしていたが、全く異なっていた。実際、若狭こすもかんとりーは、30代の夫婦が中心となって運営されているという。
 またハウスには、気温が下がると自動で稼働する温風暖房機などの機械が設置されており、天気に左右されずに効率よく安定的に収穫できる利点もある。農業は不安定なイメージが強かったが、市場や小売店にとっては確実な入荷が期待できるし、農家にとっては安定的な収入が見込める。
 しっかり生産する農家と、施設を貸して決まった値段で売っていくJA。この事業では、農家の経営がちゃんと成り立つよう、JAが農家を支え協力している姿が見えた。事業が始まった当初はなかなかうまくいかなかったそうだが、村田さんは「生産者も販売する方も真剣になって取り組み続けた結果、現在はうまくいき良かった」と笑顔で話していた。

※ 本記事は、平成31年3月1日付福井新聞に掲載されました。