お米農家として思うこと

第45回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクール
福井県知事賞
福井清水中学校 2年 今村悠聖

 僕の家は兼業農家です。春になると、家族みんなで田植えをします。田植えをすると、足が汚れるし、遊ぶ時間も減るので、僕は田植えが嫌いです。

 毎年ゴールデンウィークには、東京の友達家族が田植えをしに来てくれます。その友達家族は、田んぼに入るだけでテンションが高くなるし、軽トラに乗るだけなのに、記念撮影をします。僕にとっては、普通のことでも別の人にとっては珍しいことなんだあと思いました。今年は、コロナウイルスの影響で、友達家族は田植えに来れなかったのでとてもさみしかったです。改めて、みんなで田植えをする楽しさを実感しました。

 田植えシーズンが終わると、稲刈りまでの間は、父も母も祖父までも、苗から稲に育つまでの管理におわれます。父は、週末になると、必ず田んぼに草刈りに行っています。僕は、父に

 「何で毎週草かりばかりするの。」

と、聞いたことがあります。すると、父は、

 「米作りは、田植えと稲刈りだけじゃないんだよ。田んぼがいっぱいあるから、毎週草刈りに行かないと、草が伸びてすごいことになってしまうからね。それに、こまめに、田んぼの水を見てあげないといけないから、とても大変なんだよ。」

と話してくれました。それを聞いて、僕は、米作りって想像以上に大変だということを知りました。そこで、また疑問が思い浮かんだので次は、祖父にこう尋ねました。

 「農家ってこんなに大変なのに、そこまでして何で米を作り続けているの。スーパーで買えばいいのに。」

 すると祖父は、

 「スーパーで買うお米よりも、自分で作ったお米の方が、比べ物にならないくらいおいしいんだよ。それに、ご先祖さまから代々受け継がれてきた大事な田んぼだから、手放すわけにはいかないからね。だから、悠聖が大人になっても、うちの田んぼを守っていってくれな。」

と言いました。僕は、うちのお米に慣れているので、とびきりおいしいと思ったことはないけれど、確かに、東京の友達家族がうちのご飯を食べるときは、いつも、おいしい、おいしいと言ってばくばく食べてくれます。新米がとれる時期には、毎年東京に送ってあげるのですが、

 「こんなおいしいお米、東京では高いし、食べられないからうれしい。」

 と言ってくれます。新米をいち早く、食べることが出来るのは、米作り農家の特権だなあと思います。

 今年は、コロナウイルスにより、休校が長引いたので、農業を手伝う時間が多くとれました。米作りを始め、農業は、本当に人の手を必要とします。今年の春は、僕もたくさん手伝うことが出来たので祖父や母にすごく感謝されました。テレビでは、家から出られなくて、ストレスが溜っている子供の様子が毎日のようにニュースで流れていましたが、僕は、その間、貴重な体験が出来ました。毎日、自然と向き合い、自然を肌で感じたことは、僕にとって、とてもかけがえのないものだったと思いました。

 今、飽食の時代と言われていますが、ごはんを平気で残す人たちにこそ、農業の大変さを知ってほしいです。僕は、大人になってもご先祖さまから受け継いだ田んぼを大事にしながら、米作りに携わっていきたいです。

その他の入賞作品はこちら(ごはん党キッズ)